脳疲労を解消すれば、人は自然と心と身体にいいことを自ら選択できるようになります。
例えばアルコールや煙草などの悪い支えによってストレス解消していた人が、脳疲労が軽くなるにつれ、 運動などの身体に良い支えの割合が増えていくという良い循環が始まるのです。 肥満や生活習慣病の原因をつくる「脳疲労」の解消法としてBOOCSは以下の2原理に基づいた3原則を提唱します。
「食べてはいけない」「運動しなければならない」等の従来のダイエット法は、行動異常のレベルを修正しようとするものですが、 そのこと自体が強烈なストレスとなり、さらなる行動異常(衝動食い等)を引き起こします。
BOOCSとはそのもっと上位の流れとなる脳疲労をとることから出発する治療法ですので、従来法とは決定的に異なりストレスなく継続することが出来ます。
以上がBOOCS理論に基づく治療法の全てですが、これをはじめて読む人は、きっと数々の疑問と困惑あるいは反発を覚えられるのではないかと思います。 なぜならこの考え方は、「~食べてはいけない」「~運動しなければならない」という従来の手法とは全く反対に見えるからです。 特に、第1原則と第2原則には目をむかれたに違いありません。そこでなぜこのような逆説的な考え方が新たな治療法になるかを以下に説明しましょう。
ヒトはなぜ太るか(病気になるか)は、BOOCS発症仮説である、 ストレス過剰→〈脳疲労〉→五感異常→(食・運動)行動異常→肥満その他の生活習慣病、という図式で説明できます。
従来法は、この行動異常のレベルを修正しようとするものですが、これだけを修正しようとすると、そのこと自体が強烈な負のストレスとなって、 それでなくてもストレス過剰状態にある人のストレスをさらに高めることになります。 その結果は上流である「脳疲労」を促進することになり、五感異常がさらに高じて行動異常が進み、 医療関係者の指導でやっと実行していた行動規制が破綻して、ドカ食い、衝動食いが起こって体重が元に戻る(リバウンドする)ことになります。
このような悪循環に陥ることがないように、“行動規制を出発点としてはいけない”と考える点でBOOCSは従来法とは決定的に異なるものです。
行動規制を最初に行うことが適切でないとするなら、最上流の「ストレス過剰」を減らせばよいということになりますが、 これも現実的には容易なことではありません。たとえば人間関係や仕事の内容、量がその人のストレスとなっている時、 それを簡単にとり除くことは一般的に困難です。 というより、それがむずしくて失敗したからこそ「脳疲労」に陥っているのですから、原因を取り除くことはとても無理です。
そこで、一番遮断しやすい流れはどこかというと「食行動異常」より上流にある「脳疲労」を解消することだというのがBOOCS治療仮説なのです。 すなわち、2原理3原則は「脳疲労」解消法なのです。
BOOCSの「禁止・禁止の原理」(自分が自分を禁止、強制することをできる限りしない)は、 「自分が自分を…」とは「大脳新皮質」という「自分」が「大脳辺縁系」という「もう一人の自分」を抑圧・無視することをやめるということです。
さらに積極的なお詫びとして大脳辺縁系の喜ぶことをしてあげれば、脳内でも同じ効果が期待できるでしょう。 これが「快の原理」(自分にとって心地よいことを一つでもよいから始める)が必要な理由です。 ここの「自分」は大脳新皮質ではなく、大脳辺縁系であることはいうまでもありません。 そして「大脳辺縁系」は本能と情動の中枢であることを考えれば、大脳辺縁系の喜ぶことが「心地よいこと」であることは容易に理解できるでしょう。
この2原理は、いわばBOOCS憲法とでもいうべきものですが、これをさらに一般法規に相当する具体的で現実的なルールとしたものが三つの原則なのです。